石破茂が8ヶ月で政権を投げ出した。予想通りだ。そして今、5人の政治家が、泥船と化した自民党の船長の座を巡って醜い争いを繰り広げている。彼らは本気で、この沈みゆく船を操縦できると信じているのだろうか。それとも、沈没前の最後の利権にありつこうとしているだけなのか。
高市早苗という政治家の末路
高市早苗前経済安保相。かつては保守の論客として一定の評価を得ていた彼女が、総裁選の演説で放った第一声は「奈良の女です」だった。そして万葉集を朗々と詠み上げた後、突如として「奈良の鹿を蹴る外国人」への怒りを爆発させた。
「そんな奈良のシカをですよ!足で蹴り上げる、とんでもない人がいます」
奈良県庁は即座に「そのような事実は確認されていない」と否定。記者から根拠を問われると「自分なりに確認した」「SNSで流布されている」という、政治家として最も恥ずべき回答。事実確認もせず、ネットの噂話を国政の場で語る。これが元総務大臣の姿である。
なお、奈良公園の鹿に対する暴力動画が拡散し、県や警察が周知強化や規制見直しを進めた経緯もあることは付記しておく[1][2]。
彼女が本当に守りたいのは、鹿ではない。「日本人ファースト」を掲げる参政党に流出した保守層の票だ。外国人への敵意を煽り、ナショナリズムに訴える。古典的で、そして最も卑劣な手法。かつての論客は、今やネット右翼と同じ土俵で戦っている。
小泉進次郎の欺瞞的算数
「2030年度までに平均賃金を100万円増やす」
小泉進次郎農水相の公約は、国民を愚弄している。現在の賃金上昇率が年4.1%。これが続けば5年で100万円増。つまり彼の公約は「何もしなくても達成される数字」を、さも自分の手柄のように語っているだけだ。
更に滑稽なのは、自民党が参院選で約束した「2万円給付」を、少数与党下で見直し・修正方針へと転じていることだ。[1][2][3][4] 100万円増やすと大風呂敷を広げながら、たった2万円すら配れない。この矛盾に気づかないほど、彼は国民を馬鹿にしているのか。それとも、本当に気づいていないのか。
「セクシー」という言葉で誤魔化してきた中身の空虚さが、今回も露呈した。父親の七光りだけで生きてきた男の限界が、ここにある。
残りの候補者たちの空虚な言葉
茂木敏充は「閣僚の平均年齢を10歳若くする」と言う。具体的にどう実現するのか。誰を切り、誰を入れるのか。数字だけが一人歩きする、実に空虚な公約だ。
林芳正は「赤字国債には頼らない」と断言した。では財源はどこから捻出するのか。増税か、それとも社会保障の削減か。都合の悪い真実は語らない、典型的な官僚出身政治家の欺瞞である。
小林鷹之に至っては、存在感すらない。これもまた、ある意味で正直なのかもしれない。何も期待できないことを、最初から示している。
国民不在の茶番劇
この総裁選で語られているのは、鹿の話と実現不可能な数字の羅列だけだ。物価高に苦しむ国民の声は、彼らの耳には届いていない。いや、聞こえていても、聞こえないふりをしている。
衆参両院で過半数を失った自民党。もはや単独では何も決められない。それでも彼らは「解党的出直し」を叫ぶ。しかし実際にやっていることは、相変わらずの派閥争いと、空疎な公約の垂れ流しだ。
エピローグ:暗い未来への序章
10月4日、新しい総裁が決まる。それが誰であろうと、結果は同じだ。この国の政治は、もはや機能していない。政治家たちは国民ではなく、自分たちの利権と保身だけを見ている。
高市は存在しない敵と戦い、小泉は空虚な夢を語る。そして国民は、ただ黙って物価上昇に耐え続ける。これが令和7年の日本の現実だ。
もう誰も、本気で国を変えようとは思っていない。ただ、沈みゆく船の上で、最後まで一等船室にしがみついていたいだけだ。
これを民主主義と呼ぶのなら、それはあまりにも残酷な冗談である。
