自民党総裁選前倒し議論が映し出す「責任なき政治」の末路

またですか? 思わずため息が出る「トップ交代劇」

7月の参院選で歴史的大敗を喫した自民党。その責任を問う声が党内から上がっています。ただし、その声の主は意外な人たちでした。総裁選を前倒しして石破茂首相を交代させようと動いているのは、なんと裏金事件を引き起こした旧安倍派を中心とする議員たちだったのです。

「えっ、ちょっと待って」と思われた方も多いでしょう。そう、責任を取るべき人たちが、別の人に責任を押し付けようとしている。まるでブラックコメディのような話ですが、これが永田町で起きている現実です。

国民はもうお見通し

興味深いことに、自民党支持者でさえこの動きを冷ややかに見ています。時事通信の8月世論調査によると、自民党支持層の65.9%が石破首相の辞任は「必要ない」と答え、「必要」とした24.6%を大きく上回りました。

なぜでしょうか。答えは明白です。国民は問題の本質を見抜いているからです。

参院選での惨敗は、石破首相個人の問題ではありません。裏金問題に対して誰も責任を取らず、うやむやにしようとする自民党の体質そのものに、有権者が「NO」を突きつけたのです。鈴木宗男参院議員でさえ「衆院選、東京都議選、参院選の自民敗退は全て裏金のケジメがついていないことが最大の要因」と認めています。

「他にいないから」という消極的現状維持

確かに石破内閣の支持率は8月に入って上昇しました。共同通信調査では35.4%と、前月から12.5ポイントも上昇しています。しかし、手放しで喜べる状況ではありません。不支持率は依然として49.8%と、支持率を大きく上回っているからです。

この数字が物語るのは「積極的支持」ではなく、「他に任せられる人がいないから、とりあえず現状維持で」という、極めて消極的な判断にほかなりません。

実際、自民党の支持率は15.7%まで落ち込み、特に40歳代以下では軒並み1ケタ台という危機的状況です。若い世代からは、もはや完全に見放されているといっても過言ではありません。

「誰が総裁か」ではなく「何をするか」

今の自民党に必要なのは、総裁の首をすげ替えることではありません。

  • 裏金問題に関わった議員への厳正な処分
  • 派閥政治からの脱却
  • 国民目線での政策立案

これらの「当たり前のこと」を実行することです。

ところが、党内では相変わらず「誰を総裁にするか」という権力闘争に明け暮れています。まるで沈みかけた船の上で、船長の椅子を誰が座るかで揉めているようなものです。

歴史は繰り返すのか

思い返せば、自民党はこれまでも支持率が下がると総理・総裁を交代させることで、その場をしのいできました。しかし、もうその手は通用しません。国民は学習したのです。

「看板を変えても中身が変わらなければ意味がない」

この単純な事実に、なぜ永田町の人々は気づかないのでしょうか。いや、気づいていても変われないのかもしれません。それこそが、今の自民党の本当の危機なのです。

おわりに

総裁選を前倒しするかどうか。9月上旬には結論が出る見込みです。しかし、仮に前倒しが決まり、新しい総裁が選ばれたとしても、それで自民党への信頼が回復するでしょうか。

答えは明白です。裏金問題の責任を取らず、内輪の権力闘争に終始する限り、誰が総裁になっても結果は同じでしょう。

国民が求めているのは「責任ある政治」です。この当たり前のことができない限り、自民党の凋落は止まらないでしょう。そして、それは決して他人事ではありません。政権与党の機能不全は、私たち国民の生活に直接影響するのですから。

今こそ、永田町の人々には目を覚ましてもらいたい。そして私たち国民も、次の選挙では「責任を取る政治」を実現できる選択をしなければなりません。民主主義は、結局のところ、私たち一人ひとりの選択の積み重ねなのですから。